「コカ・コーラとペプシ、実は同じ飼い主?」――あなたのスマホも財布も、3人の“大家さん”に支配されているという不都合な真実。
## ブラックロック台頭の表向きの理由と、教科書が教えない「違和感」
想像してみてください。あなたがコンビニに行って、コーラを買おうとしているシーン。「今日はコカ・コーラにしようかな、それともペプシにしようかな?」ライバル同士の熾烈な争い。僕たちはそれを選んでいるつもりでした。
でも、もし「どっちが売れても同じ人のポケットに金が入る仕組み」だったとしたら?
「えっ、まさか。独占禁止法とかあるでしょ?」
そう、これまではそうでした。教科書では「企業は競い合って良いサービスを作る」と教わります。しかし、2010年代以降、世界の経済システムには決定的な「バグ」が発生しました。それが、ブラックロック、バンガード、ステート・ストリートという、いわゆる「ビッグ3」と呼ばれる巨大運用会社の独裁です。
彼らの表向きの理由は、至極まっとうです。「個人の皆さんの資産を、安く、安全に、分散投資してあげますよ」スマホでポチッと買える「ETF(上場投資信託)」を普及させ、情弱でも投資ができる時代を作った。まさに投資界の民主化、英雄です。
でも、その裏側の帳簿(バランスシート)を覗くと、とんでもない景色が広がっています。彼らが預かっているお金は、合計で数千兆円。日本の国家予算の何十年分という、天文学的な金額です。この金を使って、彼らは「世界中の有名企業の筆頭株主」という、いわば「全クラスの学級委員長」のようなポジションを独占してしまったのです。
## ブラックロックはいかにして「ビッグ3台頭」で莫大な富を得たのか?
「で、結局誰が一番得してるの?」その答えは、ブラックロックをはじめとする資産運用会社、そしてその頂点に立つ支配層です。
ここで、「最強の例え話」をしましょう。
あなたが、超巨大な「マンションの管理会社」の社長だとします。このマンション、実は世界中にあって、Apple部屋、Google部屋、トヨタ部屋、ソニー部屋……と、あらゆる有名企業が入居しています。
これまでの資本主義はこうでした。「Apple部屋の住人とGoogle部屋の住人が、どっちがイケてるか競い合う。勝ったほうが家賃をたくさん払えるようになる」
ところが、今の「ビッグ3」のやり方はこうです。「全部の部屋の鍵(株)を俺たちが持っている。住人が誰になろうが知ったこっちゃない。俺たちは全住人に『環境にいい洗剤を使え(ESG投資)』とか『給料のバランスはこうしろ』と命令する権利を持っている」
受益・獲得内容の内訳
- 経営方針の完全支配:彼らは「運用会社」なのに、企業のCEOに対して「あ、君のところの環境対策が甘いから、次の役員選挙でNOを突きつけるからね」と脅し(アドバイス)ができます。
- 競争の無効化:コカ・コーラとペプシ、両方の筆頭株主が「ブラックロック」だったら、彼らは本気で殴り合うでしょうか?いいえ、適当に仲良くやって、両方の利益を最大化するほうが、大家(ブラックロック)にとっては好都合なのです。
これを「運用会社資本主義」と呼びます。かつての「汗水垂らして働く社長」の時代は終わり、「誰の金を動かしているか分からない巨大AIと分析チーム」が世界をディレクションする時代になったのです。
## ブラックロックによるシステム変更:BeforeからAfterへの激変
この変化は、OSのアップデートに例えると分かりやすい。かつての経済が「Windows 95」だとしたら、今の世界は強制的に「BlackRock OS」に書き換えられてしまったようなものです。
【Before】株主資本主義(自由競争の時代)
- ルール: ライバル企業はガチで殴り合う。
- プレイヤー: 個人の投資家や、それぞれの企業を応援するファン。
- パワーバランス: 成功した創業者が一番偉い。
【After】運用会社資本主義(アルゴリズム支配の時代)
- ルール: 競合するはずの企業たちが、同じ「ビッグ3」という親分を持つ。
- プレイヤー: AI、アルゴリズム、巨大なインデックス(指標)。
- パワーバランス: 企業のオーナーより、その株を「管理」しているブラックロックが偉い。
このシステム変更のトリガーは、「ETF(上場投資信託)」の爆発的普及です。「手数料が安いから」という理由で、世界中の人がブラックロックにお金を預けました。その結果、彼らは自分の金ではない「人から預かった金」を使って、世界中の企業の議決権を掌握してしまったのです。
さらに、彼らが掲げたのが「ESG(環境・社会・ガバナンス)」という魔法の言葉。「地球に優しい企業じゃないと、金を引いちゃうよ?」という正論の棍棒を振り回し、世界中の企業のルールを自分たちの都合の良いように書き換えていきました。もはや、選挙で選ばれた政治家よりも、ブラックロックのCEOの方が世界を動かす力を持っていると言っても過言ではありません。
## ビッグ3台頭から学ぶ現代の教訓:最大の被害者にならないために
「まあ、大金持ちがやってることだし、俺たちには関係ないよね」……そう思ったあなた。実は、一番の被害者は「一般の株主」であり「消費者」である私たちです。
私たちが奪われているもの
- 「本物のイノベーション」の機会:巨大勢力が「みんな同じルールで、仲良くやってね」と強制するため、既存の秩序をぶっ壊すようなヤバい新興勢力が育ちにくくなっています。
- 「価格競争」によるメリット:ライバル同士が裏で繋がっていれば、無理に値下げをする必要がありません。あなたのスマホ代やサブスク代、コンビニの商品の値上げ。その背景には、「競争が形骸化した市場」があるかもしれません。
- 「選ぶ自由」:A社を選んでいるつもりが、実はB社と同じオーナーを支持していた……。これ、一種の「資本のデモクラシーの崩壊」なんです。
明日から「ニュースを見る眼鏡」を変えよう
これからニュースで「〇〇企業が、環境に配慮した新方針を発表!」という見出しを見たら、こう考えてみてください。「あ、これはブラックロックのCEOに怒られないように、顔色を伺ってやってるんだな」と。
世界のニュースは、政治家ではなく、「金の蛇口を握っている奴ら」の意向で動いています。
ブラックロック、バンガード、ステート・ストリート。この3つの名前を覚えておくだけで、あなたの「世界の解像度」は劇的に上がります。彼らは悪魔ではありません。ただ、「究極の効率」を求めた結果、世界を一つの巨大なマトリックスに閉じ込めてしまった、天才的な管理者なのです。
さあ、あなたはこの「管理された世界」で、ただ流されるままに消費を続けますか?それとも、このルールの裏側を知った上で、自分の人生の舵を取り戻しますか?
現代の教養とは、「誰がこのゲームを主催しているか」を知ることから始まるのです。
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