「今日の金利、低めにしておいて(笑)」――たった一行のチャットが、君の財布から金を毟り取っていた。世界経済のOSをハッキングした銀行員たちの「禁断の錬金術」を暴く。
## LIBOR(ライボー)不正操作の表向きの理由と、教科書が教えない違和感
想像してみてほしい。君がスマホでローンを組んだり、奨学金を借りたり、あるいは親が家を買ったりするとき。「金利」っていうのは、神様が決めた絶対的な数字だと思っていなかった?
「市場の需給で決まるから平等だ」「銀行はルールに従って動いている」
教科書にはそう書いてある。でも、2012年に発覚したLIBOR(ライボー)不正操作事件は、その「常識」を木っ端微塵に破壊したんだ。
事件の舞台は、ロンドンのエリート銀行員たちが集まるチャットルーム。表向き、LIBORは「ロンドンで銀行同士がお金を貸し借りするときの平均金利」と定義されていた。これは世界中の住宅ローン、企業の借金、さらには派生商品(デリバティブ)など、合計で「数百兆ドル(数京円)」という天文学的な金額の基準(インデックス)になっていた。
つまり、LIBORは世界経済というゲームにおける「重力」のようなもの。重力が変われば、すべての物の重さが変わる。それくらい絶対的な指標だった。
ところが。ある日、その「重力の装置」を裏でガチャガチャ動かしている奴らがいることがバレた。「ねえ、俺たちの取引に有利だから、今日の金利、ちょっと低めに見積もって報告しておいてよ」「お安い御用さ。あとでシャンパン奢れよな」
こんなノリで、世界の金利が「談合」で決められていたとしたら?そう、これは単なる不祥事じゃない。「世界経済というカジノで、ディーラーが客のカードを裏で見て、勝手に自分の数字を書き換えていた」という、史上最悪の詐欺事件なんだ。
## バークレイズ等のメガバンクはいかにしてLIBOR不正操作で莫大な富を得たのか?
この事件で「最大の受益者」となったのは、バークレイズ、UBS、ドイツ銀行といった世界の名だたるメガバンクたちだ。彼らがどうやってボロ儲けしたのか、スマホゲーの課金システムに例えて解説しよう。
「ガチャの確率操作」を運営がやっていたようなもの
君がスマホゲーの運営会社だとする。期間限定の超レアキャラが出るイベント中、君は「確率は1%です」と表示しながら、自分の身内が引くときだけ「100%」に書き換え、一般人が引くときは「0.001%」に下げていたらどうなる?
当然、運営(銀行)は絶対に損をせず、ユーザー(投資家や借り手)はいつまでも搾取されるよね。
具体的に、彼らには2つの大きなメリットがあった。
デリバティブ取引での「カンニング勝利」銀行は「金利が上がったら儲かる(または下がったら儲かる)」というギャンブル(デリバティブ)を何十兆円単位で行っている。LIBORをたった「0.01%」動かすだけで、一晩で数億円から数十億円の利益が転がり込む。彼らは自分の賭けに合わせて、審判に「スコアの書き換え」を依頼していたんだ。
「俺たち健全だぜ」という嘘(粉飾)2008年のリーマンショック時、銀行同士は疑心暗鬼になり、お互いにお金を貸したがらなかった。普通なら金利が跳ね上がるはずだ。でも、高い金利を報告すると「あの銀行は危ないらしい」と噂され、倒産してしまう。だから銀行員たちは口裏を合わせて低い金利を報告し続けた。「うちはまだ余裕で安く借りられるぜ!」という見栄を張るために、世界を騙し続けたんだ。
「銀行員たちの会話(想像)」「おい、このままじゃ俺たちのボーナスが減るぞ。LIBOR(基準金利)を0.05下げろ。俺が昨日『下がる方』に賭けたからな」「了解。他の銀行の担当者にもメールしとくわ。みんなで合わせればバレないだろ(笑)」
こうして、本来市場が決めるべき数字が、彼らの「飲み代」や「ボーナス」のために捻じ曲げられた。
## LIBOR不正操作によるシステム変更:【市場金利】から【談合金利】への激変
この事件は、単なる銀行の「おふざけ」では済まなかった。世界経済のシステムそのものを書き換えてしまったんだ。これを「市場OSの崩壊」と呼ぼう。
Before:透明なはずの市場経済
本来、金利は「お金が必要な人」と「余っている人」の需給バランスで決まる。これが資本主義のフェアなルールだ。プロの投資家も、地方自治体の担当者も、家を買うパパも、みんな「このルール(LIBOR)」を信じて契約書にサインしていた。
After:不透明な「クリエイティブ・アカウンティング(創造的会計)」
発覚後の世界はこう変わった。「えっ、信頼していた指標が、実は銀行員が適当に決めてたの?」という不信感が世界中に蔓延したんだ。
LIBORの廃止と代替指標(TONAなど)への移行あまりに汚職がひどかったので、LIBORというシステム自体をゴミ箱に捨てることになった。今、世界中の銀行が巨大なシステム改修に追われている。
「性悪説」へのアップデートこれまでは「プロが決める数字だから正しい」と思われていた。でも今は、どんな公的な数字も「誰かが裏で操作しているんじゃないか?」という猛烈な監視(規制)を受けるようになった。
例えるなら、「絶対にチートができないはずのオンライン対戦ゲームで、公式ランキングのトップが全員チーターだった」ことが判明し、ゲームそのものをアンインストールして新作を作り直すことになった、みたいな大騒動なんだ。
## LIBOR不正操作から学ぶ現代の教訓:最大の被害者にならないために
この事件で「最大の被害者」になったのは誰か?それは、世界の住宅ローン利用者、奨学金を借りている学生、そして我々の税金を運用している地方自治体だ。
金利が「0.01%」操作されるだけで、支払う利息が数万円、数十万円と変わってくる。銀行が不当に儲けた数十兆円は、もともとは君たちの親が一生懸命働いた給料や、将来の君たちの財布から、気づかないうちに少しずつ、吸い取られていた分なんだ。
私たちが得られる教訓
「当たり前」の数字を疑え電気代、ガス代、スマホの通信料、そして銀行の金利。「大手が決めているから適正だ」という考えは、もう古い。彼らには彼らの「帳簿を黒字にするための都合」がある。
情報の「透明性」を確認する今の時代、ブラックボックス(中身が見えない仕組み)は必ずと言っていいほど腐敗する。自分が使っているサービスが「どんな基準で価格を決めているか」を説明できない会社は、利用を控えるべきだ。
「眼鏡」をかけ替えよう明日からニュースを見るとき、「基準が変わった」「金利が変わった」という一言を見逃さないでほしい。それは、誰か(受益者)が君のポケットからお金を取り出すための「マジック」かもしれない。
LIBOR事件は、銀行への数兆円の制裁金で幕を閉じた。でも、システムを動かすのが「人間」である以上、第2、第3のLIBORはどこかで息を潜めている。
「ルールは、守るためにあるんじゃない。自分たちに都合よく書き換えるためにあるんだ」
そんな強欲(強者)たちの論理に飲み込まれないよう、知識という武器を持って、この複雑な現代社会をサバイブしていこうぜ!
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