「貯金した瞬間に価値が半分に」――1997年、SNSのない時代に起きた「国家レベルの強制ログアウト」の正体を暴く。
2. アジア通貨危機の表向きの理由と、教科書が教えない違和感
想像してみてください。あなたは昨日まで、バイト代で最新のiPhoneを買おうとウキウキで貯金していました。ところが、朝起きたら、持っている「円」の価値が半分になっていたとしたら?
「えっ、意味わかんないんだけど!?」
絶叫する暇もありません。昨日まで10万円で買えたiPhoneが、20万円になっている。ガソリン代もマックのポテトも2倍。でも給料は据え置き、というか会社が潰れてクビ。……これ、1997年にタイや韓国でマジで起きた出来事なんです。
教科書やニュースは、アジア通貨危機の原因についてこう説明します。「アジア諸国の景気が良すぎて、借金をして投資しすぎたから。バブルが弾けて、投資家たちが怖くなって一斉にお金を引き揚げたのが原因です」
……うん、それっぽい。でも、これだけ聞くと「アジアの国々が調子に乗って自爆した」みたいに見えませんか?
実はこれ、例えるなら「家のセキュリティがちょっと甘いのを見つけたプロの空き巣軍団が、一斉に窓を割って入り、ついでに鍵を『彼らの都合のいいもの』に付け替えた」というお話なんです。
犯人は誰か? その背後で笑っていたのは誰なのか?さあ、帳簿(バランスシート)の裏側を覗きにいきましょう。
3. ヘッジファンドやIMFはいかにしてアジア通貨危機で莫大な富を得たのか?
この事件で最大の富を築いたのは、「ヘッジファンド」と呼ばれる怪物たち、そして国際組織の「IMF(国際通貨基金)」です。
「空売り」という名のチート行為
ヘッジファンドのやり方は、学校の「カードゲームのトレード」に例えるとわかりやすいです。
- 転売の予約: ファンドは、「タイの通貨(バーツ)」を誰かから1枚100円の価値があるときに大量に借ります。
- 暴落工作: SNS(当時は噂話や投資レポート)で「タイの財布、もう空っぽらしいぜ」と一斉に言いふらします。
- パニック売り: 怖くなった一般人がみんなバーツを手放し、1枚50円に価値が暴落します。
- 買い戻し: ファンドは暴落した50円でバーツを買い、100円で借りた人へ返します。
- 手元に残る利益: 1枚につき50円が、何もしていないのにファンドのポケットへ。
これを兆単位の金額でやったのが、有名な投資家ジョージ・ソロス率いる軍団です。タイの政府が必死に抵抗しても、世界中のマネーを牛耳る彼らには勝てませんでした。
「火事場泥棒」的な買収劇
さらにエグいのが、その後の展開です。
国が倒産寸前になると、IMF(国際通貨基金)という「世界の警察(自称)」がやってきます。「助けてやるよ。でも条件がある。お前らの国の優良企業を、全部外資(欧米企業)に売り払え。あと、福祉や公共事業に金を使うなよ」
これを「構造調整プログラム」と言います。これによって、サムスン(韓国)などの当時ボロボロだったアジアの宝のような企業たちが、欧米の多国籍企業によって「バーゲンセール価格」で買い叩かれました。
彼らのセリフを想像してみましょう。「いやー、火事場は儲かるなあ! 国が燃えている間に、安く株を買い占めて、ついでに我々のビジネスがしやすいように法律も変えさせてもらうよ(ニッコリ)」
4. アジア通貨危機によるシステム変更:【アジア的成長】から【グローバル資本主義】への激変
この事件は、単なる経済トラブルではありません。それは、世界経済の「OS(基本システム)」を強制的にアップデートされた瞬間でした。
Before:学校の「部活の結束」モデル
これまでのアジア(日本、韓国、タイなど)は、「国・銀行・企業」がガッチリ組んで、身内で助け合いながら成長するモデルでした。いわば、「同じ部活のメンバーで練習して強くなろうぜ!」という内輪のルールです。
After:冷酷な「サバイバル・オンラインゲーム」モデル
アジア通貨危機の後、IMFの介入によってこのルールは破壊されました。新しく導入されたのは、「グローバル資本主義」というルール。
- 完全自由化: 海外の投資家がいつでも自由にお金を引き抜けるようにしろ。(窓を全部開けておけ)
- 株主至上主義: 従業員の生活より、海外の株主への配当を優先しろ。(仲間より金)
- 市場開放: 外国企業がいつでも参入して、地元の店を潰せるようにしろ。(大型スーパーの隣で八百屋をやらせる)
これは、iPhoneのOSが勝手にアップデートされて、これまで使えていた「日本独自の便利アプリ」が全部消され、すべて「アメリカ製の有料アプリ」に置き換えられたようなものです。
この「ルール変更」によって、私たちの身の回りでも格差が広がり、派遣社員や非正規雇用が増えるという、今のギスギスした社会の「種」がまかれたのです。
5. アジア通貨危機から学ぶ現代の教訓:損をする「被害者」にならないために
この事件で最大の被害を被ったのは、言うまでもなく「タイ・韓国・インドネシアの一般国民」です。
彼らが奪われたのは、単なるお金ではありません。「将来の安心」と「国の誇り」です。昨日まで「アジアの世紀だ!」と盛り上がっていたのに、一瞬にして欧米の資本家たちに財布の中身を覗き込まれる生活に変わってしまった。
私たちが今、気をつけるべきこと
この歴史から学べる教訓は、「大勢がパニックになっている時、裏で誰かが出口のチケットを買い占めている」ということです。
今の時代で言えば、ビットコインの急落、円安の波、あるいはSNSでの炎上騒動。みんなが「うわああ、大変だ!」とスマホを叩いている時、一部の賢い(そして強欲な)人たちは、冷徹に「次にどの安くなった資産を拾うか」を計算しています。
「国の仕組み」は、ある日突然、誰かの都合で変わります。その時、ただ流されるだけの「被害者」にならないための唯一の方法は、お金と権力の流れを俯瞰して見る「眼鏡」を持つことです。
次にニュースで「〇〇危機!」という言葉を見たら、一瞬立ち止まって考えてみてください。「で、誰がこれで得をするんだっけ?」
その疑問を持つだけで、あなたはもう、奪われる側から脱出する第一歩を踏み出しているのです。
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