はじめに
UX/UIデザイナー、プロダクトマネージャーへ。
競合アプリの「登録フロー」や「課金画面」を確認するために、わざわざ捨てアドで作ったアカウントで何回も登録作業を繰り返していませんか? 確認したいのはボタンの配置や導線なのに、なぜか住所入力をさせられ、挙句の果てに「初回無料トライアル」の解約を忘れて課金される。この無意味な時間は、今日で終わりにしましょう。
今回は、数多あるUIリサーチツールから、「Webサイト(ブラウザ)上でアプリの全画面を閲覧できる」ものだけを厳選しました。※なお、当初リストにあった一部のツールは更新が止まっていたため、鮮度と網羅性を重視し最新の4つに絞り込みました。
「スクショ宝庫」かつ「UI録画」が完備された神ツールを紹介します。
【この記事で得られること】
- ✅ 競合アプリをインストール・登録する手間がゼロになる
- ✅ 普段は見ることができない「課金エラー時」や「解約フロー」のUIを拝める
- ✅ ステークホルダーへのプレゼン資料に、秒速で高品質な参考画像を添付できる
1. Mobbin:世界標準のUI図書館
価格: Free / $15〜 per month / 検索ワード: Mobbin UI
どんなツール?
世界最大級のモバイルアプリUIライブラリです。iOSだけでなくAndroidの最新UIも網羅しており、NetflixやAirbnbなど、トップティアのアプリの動きが手に取るようにわかります。
【例え話で理解する】Mobbinは、まるで「他人の家の冷蔵庫の中身からクローゼットの奥まで、合法的に覗き見できる内見ツアー」のようなものです。普通なら家主(運営)が許可しない限り見られない、会員登録後の「深い階層」や「設定画面」まで全てが白日の下に晒されています。つまり、このツールを使わないのは、地図も持たずに見知らぬ土地の迷路を彷徨うのと同じくらい無謀です。
🛠 おすすめの設定・使い方
- 「Flows」機能で一気見: 単一の画面ではなく、ログインから完了までの「一連の流れ」を線で繋いで確認。
- 画面要素でのフィルタリング: 「Date Picker」や「Empty State(空の状態)」など、特定のパーツが含まれる画面だけを抽出するのがプロの技。
✅ ココが凄い (Pros)
- 圧倒的な解像度: スクショが異常に綺麗。そのままFigmaに貼っても耐えられます。
- 更新頻度: 人気アプリのバージョンアップに追従するスピードが異常に速い。
⚠️ ココが惜しい (Cons)
- 検索の沼: ツール自体が優秀すぎて、気付くと1時間くらい眺めてしまう時間泥棒。
- 無料版の制限: 閲覧できる単語数や保存数に制限があるため、本気で使うなら課金必須です(編集部も全員速攻で課金しました)。
💡 デザイナーへのベネフィット
Before:「マッチングアプリの年齢確認フローってどうなってたっけ?」と思い、自分の免許証をカメラで撮って送信し、承認されるまで1日待つ。
After:Mobbinで検索。3秒でTinderからBumbleまで全ての確認フローが表示され、その場で構成案が完成。
【具体的な時短効果】
- 1回のリサーチあたり:60分節約
- 月間換算:20時間節約
- 年間で考えると:240時間 = 丸10日分の休暇を取り戻せます。
2. Page Flows:動画で語るユーザー体験
価格: $39〜 (Quarterly) / 検索ワード: Page Flows
どんなツール?
静止画のスクショだけでなく、「動画(録画)」に特化したリサーチツールです。スクロールの質感や、ボタンを押した時のマイクロインタラクションを確認できます。
【例え話で理解する】Page Flowsは、「実写の料理動画レシピ」のようなものです。完成写真(スクショ)だけ見ても「どうやってその味(心地よさ)にしたのか」は分かりませんが、動画なら「どのタイミングで塩(アニメーション)を振りかけたか」が丸わかりです。
🛠 おすすめの設定・使い方
- 「Emails」のセクションをチェック: アプリ外のUX、つまり登録後のサンキューメールの文面まで網羅されています。
- スロー再生: インタラクションが速すぎる場合は、動画をスロー再生してイージング(動きの緩急)を盗みましょう。
✅ ココが凄い (Pros)
- WebとMobileの両対応: PCブラウザ版のUIも豊富なため、SaaS開発者には必須。
- 「詰まりどころ」の可視化: ユーザーがどこで迷いそうか、動画で見ると客観的に判断できます。
⚠️ ココが惜しい (Cons)
- UIが少しレトロ: サイト自体のUIが少し古臭いですが、中身のデータはピカイチ。
- 買い切りではない: 以前は安かったのですが、年々値上がり傾向にあります。
💡 プロダクトマネージャーへのベネフィット
Before:エンジニアに「こんな感じでフワッと動かして」と話し、出来上がったものがイメージと違って修正に3日かかる。
After:Page Flowsの動画リンクを送り「このSlackのローディングと同じ秒数で」と伝える。一発で実装完了。
3. UI Sources:新機能とトレンドの最前線
価格: $400 (Lifetime) / 検索ワード: UI Sources
どんなツール?
特に最新の海外トレンド、特にWeb3やAIアプリなどの新しいジャンルのUIがいち早く掲載されるデータベースです。
【例え話で理解する】UI Sourcesは、「パリコレの最前列チケット」です。半年後に一般に普及するであろうデザイントレンドが、今この瞬間ここに展示されています。
✅ ココが凄い (Pros)
- 分析コメンタリー: 単に画像を並べるだけでなく、なぜこのデザインが良いのかの解説が(英語ですが)付いています。
- 買い切りプラン: テック系ツールには珍しく「一生使い放題」のライセンスがあり、長く使うならコスパ最強。
⚠️ ココが惜しい (Cons)
- 量が少し少ない: Mobbinに比べると網羅性は劣ります。その分「質」で勝負している印象。
4. Refero:WebサイトUIの最高峰
価格: Free / $12 per month / 検索ワード: Refero Design
どんなツール?
モバイルアプリではなく、主に「Webサイト(SaaS/LP)」のUIに革命を起こしたリサーチツールです。
【例え話で理解する】Referoは、「世界中の優秀なデザイナーの脳内をGoogle検索できる」ようなものです。「良い感じの価格表(Pricing)」を探したい時、Piniterestで画像を探すと実用性が皆無ですが、Referoなら実際に「動いている」本物のサイトから探せます。
✅ ココが凄い (Pros)
- フィルタリングの変態性: 「フォントの種類」や「カラーコード」で検索可能。
- スクショの鮮度: 常に最新の状態が保たれています。
📊 全ツール比較表
| ツール名 | 価格 | 特化ジャンル | 動画の有無 | おすすめ度 ||———|——|————|————|———-|| Mobbin | $15〜 | iOS/Android | 一部あり | ★★★★★ || Page Flows | $39〜 | 全般・メール | 豊富 | ★★★★☆ || UI Sources | $400(永続) | 最新トレンド | あり | ★★★★☆ || Refero | $12〜 | Web/SaaS | なし | ★★★★☆ |
【編集長の推奨フロー】
- 基本は Mobbin で王道の構成をパク…参考にし、
- 動きの秒数やメール文面を Page Flows で詰め、
- 最後に Refero でWeb版のLPの見せ方を最適化する。
💰 ROI(投資対効果)計算
前提条件:
- デザイナーの時給:4,000円(シニアクラス想定)
- リサーチと登録代行による時短:月間5時間
計算:
- 月間節約金額:5時間 × 4,000円 = 20,000円
- ツールの月額コスト:約2,500円(Mobbin $15換算)
- 純利益:17,500円/月
ツールへの課金をケチって5時間かけて手動登録するのは、時給4,000円の人に時給500円の内職をさせているのと同じです。会社の経費で即刻落としましょう。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. 日本のアプリのUIを調べたい場合は?
A: Mobbinには一部日本の有名アプリ(メルカリ等)もありますが、基本は海外メインです。ただし、UIの「勝ちパターン」は世界共通。海外のトップアプリを参考にする方が、競合との差別化に繋がります。
Q2. 課金画面(Paywall)まで本当に見れる?
A: はい。これらのツール運営者が実際に課金してスクショを撮っています。あなたに代わって「人身御供」になってくれているわけです。感謝しつつ使い倒しましょう。
Q3. PinterestやBehanceで良くない?
A: 論外です。 あれらは「モックアップ(空想の産物)」が多く、実際のコーディング要件を無視した作品ばかりです。実務で使えるのは、本物のプロダクトだけを載せている本物のデータベースです。
🎯 まとめ
競合の裏側を知るために、自分の手を汚す必要はありません。
- とにかく圧倒的な数のモバイルUIが見たい → Mobbin
- ボタンの押し心地や遷移の「タメ」を知りたい → Page Flows
- 最新WebサービスのLPデザインを極めたい → Refero
まずは、Mobbinの無料枠で自分たちの競合アプリを検索してみてください。これまであなたが手動でやっていた作業が、いかに虚無だったか痛感するはずです。
ツールへの投資を渋るのは、包丁が切れないのに研がずに、力技で野菜を引きちぎりながら料理を続けるようなものです。 道具を揃えれば、あなたの設計スピードは10倍に跳ね上がります。
【最後に編集長から一言】編集部では、リサーチの時間を削りすぎて、浮いた時間でランチのグレードが上がってしまいました。UIを考える時間は贅沢に使うべきですが、UIを「探す」時間は1秒でも削るべきです。そこにあなたのクリエイティビティは必要ないのですから。
コメント