「命より、会社の利益のほうが重い」――もし、国と大企業が本気でそう考えたら、僕たちの街はどうなる?これは、かつて日本で起きた「地獄のビジネスモデル」の全貌だ。
## 水俣病の「表向きの理由」と、教科書が教えない不都合な違和感
「水俣病って、昔の教科書に載ってた『四大公害』の一つでしょ? 昔の不運な事件だよね」
もし君がそう思っているなら、悪いけど、その理解は「企業のPR担当」にうまく丸め込まれているかもしれない。
1956年、熊本県水俣市で、歩けなくなる、言葉が出なくなる、そして狂ったように苦しんで死ぬという「謎の奇病」が発見された。当時のニュースはこう言った。「原因不明の伝染病か? それとも奇妙な魚を食べたせいか?」
しかし、現場の医師や研究者たちは、最初から1つの「黒い煙突」を指差していた。それが、当時日本屈指の超エリート企業、「新日本窒素肥料(現:チッソ)」だ。
教科書では「原因の特定が難しく、時間がかかった」なんて綺麗事が書かれている。だけど、バランスシート(企業の帳簿)と当時の利権を読み解くと、全く別の不気味な真実が浮かび上がってくるんだ。
これは、「原因がわからなかった」のではなく、「わかっていて、止めたら赤字になるから無視し続けた」という、あまりに冷酷な国家犯罪の物語なんだよ。
## 最大の受益者「チッソ」はいかにして水俣病の裏で莫大な富を得たのか?
この事件で一番得をしたのは誰か? 答えはシンプルだ。巨大企業「チッソ」と、日本政府だ。
「排水処理コスト」を命で削る、最悪のライフハック
これを現代の僕たちの感覚で例えてみようか。
君が「超人気のラーメン屋」を経営しているとする。スープを作ると大量の「産業廃棄物(猛毒の廃液)」が出る。普通なら、この廃液を処理するために、高い浄化マシンを買って、毎月何百万円もかけて掃除しなきゃいけない。
ここで悪魔が囁く。「そのまま深夜に川へ流しちゃえば、浄化費用は『0円』だよ。その分、利益が増えるよね。それで店もデカくして、国の税金もたくさん払えば、国だって文句言わないよ」
チッソがやったのは、まさにこれだ。当時、チッソはプラスチックの原料を作る「アセトアルデヒド」の製造で、世界トップクラスのシェアを誇っていた。まさに高度経済成長期の日本を支える「エース」だった。
彼らは知っていた。自分たちが工場から垂れ流している「メチル水銀」が、魚を毒し、それを食べた人間を壊していることを。実は、チッソの専属医師(細川一博士)が、工場の排水を猫に飲ませる実験をして、わずか数十日で猫が狂い死ぬのを1959年の時点で確認していたんだ。
【チッソ(悪役)の思考を言語化すると…】「え? 猫が死んだ? ということは排水が原因(クロ)確定じゃん(笑)。でも、今このラインを止めたら数億円の損失だよ。国も『もっと成長しろ』って言ってるし、この実験データ、シュレッダーにかけておこうか。バレるまでは、ただの『奇病』ってことで押し通そう。」
こうして、たった数パーセントの利益率を守るために、何千人もの命が「タダのコスト」として処理されたわけだ。
## 水俣病によるシステム変更:【人命尊重】から【経済成長第一主義】への激変
この事件は、単なる「環境破壊」じゃない。日本の社会構造(OS)を、根本から書き換えてしまった歴史的転換点なんだ。
イメージしてほしい。スマートフォンのOSがアップデートされた。でも、その新機能は「アプリが快適に動くなら、バッテリーが爆発して指を怪我しても自己責任」という狂ったルール(OS:高度経済成長Ver1.0)だったんだ。
Before:人命を守るための「村の掟」
かつての日本社会は、狭いコミュニティの中で「お互いの暮らしを汚さない」という暗黙の了解があった。
After:国家規模の「利益優先OS」への強制アップデート
水俣病が起きている間、国はどう動いたか?通産省(現在の経産省)は、チッソの操業を止めるどころか、「原因がお魚の毒なんて、科学的根拠がないよねw」と企業をバックアップし続けた。
なぜなら、チッソが止まれば日本の化学工業が止まり、GDPが下がるからだ。ここでできた「ひな形」は、その後の日本の大企業トラブルのテンプレになった。
- 「科学的な因果関係が不明」と言って時間を稼ぐ。
- 被害者を「ただの病気」「金目的」と叩いて分断させる。
- どうしてもバレたら、最小限の見舞金で口を封じる。
チッソが1959年に被害者と結んだ「見舞金契約」は、将来原因がわかっても一切の賠償を請求しないという、まさに「奴隷契約」だった。スマホの利用規約の100倍エグい条項が、命のやり取りの中に組み込まれた。
この瞬間、日本という国は「国民の安全を守るガードマン」から「企業の利益を最大化するマネージャー」へ職種変更したと言っても過言じゃない。
## 水俣病から学ぶ現代の教訓:未来の「被害者」にならないために
この事件の最大の被害者は、水俣の市民、そして「まだ生まれていなかった赤ちゃん」だ。「胎児性水俣病」という言葉を知っているだろうか? お母さんの食べた魚の毒が胎盤を通じて赤ちゃんに濃縮され、生まれたときから重い障害を背負う。
大企業と国が「ま、これくらいならバレないでしょ(笑)」とスマホを叩いて計算したコストカットのシワ寄せは、一番立場の弱い、未来の命に直撃したんだ。
これ、今の僕たちに関係あるの?
「昔の話でしょ」と思ったら、それは危ない。現代でも、食の安全、SNSのデータ搾取、残業代の未払い、環境への汚染……。構造は全く同じだ。
- 「便利なアプリ(サービス)を無料で使えるから、少しのプライバシー流出には目をつぶろう」
- 「安い服を買うために、途上国の子供たちが毒にさらされていても無視しよう」
僕たちは、かつてのチッソが選んだ「命より利益」という天秤の、ちょうど反対側に立たされている。
明日から「ニュースを見る眼鏡」を変えよう
水俣病の教訓はシンプルだ。「誰かが信じられないほど儲けているとき、そのツケは、必ずどこか別の場所で『弱者』が払わされている」。
テレビで「経済が好調!」「株価が最高値!」と叫んでいるときこそ、スマホの画面を少し横に置いて考えてみてほしい。「その利益の裏で、本来払われるべきコスト(安全や命)がカットされていないか?」と。
水俣の悲劇は、公式確認から認定まで12年以上放置された。「おかしい」と声を上げた人が、周囲から「会社の邪魔をするな」と叩かれた過去がある。
君が明日、何か大きなシステム(会社や学校やSNS)の「歪み」を見つけたとき。その一瞬の「違和感」を、どうか大切にしてほしい。それこそが、次の悲劇を止めるための唯一の防波堤なんだ。
歴史は、単なる暗記科目じゃない。二度と「誰かの利益のために、自分の命を天秤にかけさせない」ための、最強のサバイバル術なんだよ。
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