「反抗期?脳を少し切れば、ほら、大人しい。……それ、本当に『治療』ですか?」
## ロボトミー手術の表向きの理由と、教科書が教えない科学の違和感
想像してみてください。1940年代、ある病院の廊下。そこには、大声を出し、暴れ、手に負えないとされる精神疾患の患者たちが溢れていました。当時の精神科は、今のスマートで清潔なクリニックとは程遠い、いわば「出口のない迷宮」でした。
そこに一人の男が現れます。ポルトガルの神経科医、エガス・モニス。彼は言いました。
「脳の『感情をつかさどる部分』と『思考をつかさどる部分』の接続をちょいと切ってしまえば、彼らは静かになるはずだ」
これが、悪名高きロボトミー手術の始まりです。
表向きの理由は、「不治の病とされた精神疾患を救う、魔法の外科手術」。当時の医学界は熱狂しました。なんてったって、今までどんな薬も効かなかった暴れる患者が、手術を受けた瞬間に、植物のように大人しくなるんですから。
でも、ちょっと待ってください。「大人しくなった」というのは、本当に「治った」ということでしょうか?スマホに例えるなら、「通知がうるさいからと言って、スピーカーと基板をハンマーで叩き壊して音を消した」だけではないのか?これが、現代の私たちが感じる、教科書が深く語りたがらない「科学の違和感」の正体です。
## モニスはいかにしてロボトミー手術で「ノーベル賞」という究極の富を得たのか?
この事件で最大の受益者は、間違いなく提唱者のエガス・モニスです。彼は1949年、この術式で「ノーベル生理学・医学賞」という、科学者にとってのビットコインの暴騰以上の、絶対的な名声と富を手に入れました。
「カネの流れ」と「権力の動き」を、今の僕たちの日常のビジネス感覚で例えてみましょう。
【スマホのバッテリー問題に例えると……】
あるメーカーが、電池がすぐ切れて爆発しそうなスマホ(=暴れる患者)に対して、画期的な解決策を出しました。「バッテリーそのものを抜き取って、常に電源コードに繋ぎっぱなしにすれば、絶対に爆発しません!」これ、解決になってますか? でも、もし世界中のIT専門家が「これこそが次世代の標準だ!」と絶賛し、その開発者が世界一の賞を取ったらどうなるでしょう?
【病院側の計算:ベッド回転率という名のビジネス】
さらに、この「ビジネスモデル」の裏側には、精神病院の「経営効率」というエグい裏事情がありました。
- 当時の状況: 病院は患者でパンパン。食費もかかるし、管理する看護師も限界。
- ロボトミーの導入: 手術すれば、患者はボーッとして椅子に座り続ける。食事も文句を言わず食べる。暴れないから看護師も少なくて済む。
- 結果: 患者を「処分」するコストが劇的に下がり、ベッドの回転率が向上する。
モニスは、医療界に「安上がりなメンテナンス手法」を提供した功績で、ノーベル賞という名の全知全能のカードを手にしたのです。
## ロボトミー手術によるシステム変更:【治療】から【人格破壊】への激変
この事件は、医療の歴史における「OSの書き換え」でした。それまでの医療は、「悪いところを治して、元の生活に戻す」というアップデートを目指していました。しかし、ロボトミー以降は「社会の邪魔になる機能を強制終了(タスクキル)する」という思想が入り込んでしまったのです。
Before:精神科治療
- 対話、休息、あるいは不完全な薬物療法。
- 目的:患者の苦しみを取り除く。
After:ロボトミーという名の「初期化」
- アイスピックのような器具を眼窩(目の奥)から突き刺し、脳の「前頭前野」をかき回して破壊する(アイスピック・ロボトミー)。
- 目的:周囲の人間が「楽」になるために、患者の「人間性」をオフにする。
これは、iOSのバグを直すために、機能そのものを削除して「通話もネットもできないけど、とりあえずホーム画面だけ映る抜け殻」にするようなアップデート。この「効率重視」のシステム変更は、またたく間に世界中に広まりました。日本でも、そして自由の国アメリカでも、数万人の人々がこの「脳のデリート」の犠牲になったのです。
## ロボトミー手術から学ぶ現代の教訓:最大の「被害者」にならないために
この悲劇の最大の被害者は、言葉を失い、感情を奪われ、ただ「生かされているだけ」になった患者たちです。彼らが奪われたのは、健康ではありません。「自分自身の意志」そのものです。
私たちの財布と「同意」の裏側
「えっ、昔の野蛮な話でしょ?」と思うかもしれません。でも、現代の私たちも、形を変えたロボトミーのシステムの中にいます。
- アルゴリズムによる思考停止: SNSがあなたの好みを学習し、「見たいもの」だけを見せる。これも、ある種の「前頭葉のバイパス手術」かもしれません。自分で考えることをやめれば、管理する側にとってこれほど都合の良いことはない。
- 「専門家が言っているから」という聖域: ノベル賞を受賞したモニスが正しかったかのように、現代でも「権威」が言えば、明らかに怪しいことも「正解」になってしまう。
明日からの「眼鏡」を変える
ロボトミーの教訓は、「誰が利益を得ていて、誰がリスクを負っているか?」を常に疑え、ということです。
医師は名声を得て、病院はコストを下げ、社会は「厄介者」を消した。その代償をすべて払ったのは、手術台に乗せられた患者だけでした。
もし、世の中が「これをやれば皆が楽になるよ!」という魔法のような解決策を提示してきたら。その時こそ、自分の「脳(考える力)」をフル回転させましょう。あなたの意思という「OS」を、勝手に書き換えられないために。
現代のサバイバルは、すでに始まっているのです。
コメント