「命の維持費」までAmazonプライム並みにサブスク化? 日本の水道が今、世界的なハイエナたちの“ランチ”にされている。
## 水道民営化の表向きの理由:なぜ「自治体が水を売る」というヤバい決断をしたのか?
想像してみてください。ある日突然、学校の水道が「100円入れないと水が出ないガチャ」になったら?
「いやいや、水道は公共のものでしょ? 税金払ってるんだからさ」
そう、僕たちは当たり前のように蛇口をひねれば安くて綺麗な水が出ると思っています。でも今、その「当たり前」が音を立てて崩れようとしています。
教科書やニュースでは、水道民営化(コンセッション方式)が進む理由をこう説明します。「自治体はお金がない(財政難)し、水道管はボロボロで修理代がかさむ。だから、経営のプロである民間企業に任せて、効率よく運営してもらうんだ」と。
一見、理にかなっていますよね? 「経営の赤字を民間が助けてくれる、ヒーローの登場だ!」みたいに見えます。
しかし、ちょっと待ってください。あなたは、わざわざ「赤字確定の倒産しそうなボロい水道屋」を、善意で買い取る奇特な企業がこの世にいると思いますか?
ビジネスの世界にサンタクロースはいません。この「水道民営化」という名の契約書を1枚めくってみると、そこには「公共の福祉」ではなく「株主への配当」という、ドロドロとした欲望のロジックが隠されているのです。
## 水メジャー(ヴェオリア・スエズ)の裏側:世界中の蛇口を「ATM」に変えた錬金術
この「水道民営化」というゲームで、圧倒的な富を独占しているプレイヤーがいます。それがフランスの「ヴェオリア」や「スエズ」といった、通称『水メジャー』と呼ばれる巨大企業です。
彼らがいかにして儲けているのか。わかりやすく、「スマホゲームの運営」に例えてみましよう。
これまでの水道(公営)は、いわば「非課金でも永久に遊べる、国が作った神ゲー」でした。サーバー代(維持費)はみんなの税金で賄われ、利益を出す必要がないから、アイテム(水)は実費だけで配られていました。
そこに「水メジャー」という運営会社が乗り込んできます。彼らはこう言います。「このゲーム、UIが古いし、サーバーもバグだらけだね。僕たちが最新のシステムにアップデートしてあげるよ。その代わり、運営権(集金する権利)を20年間独占させてね」
自治体が「お願いします!」と契約を結んだ瞬間、ゲームのルールはこう変わります。
- 基本料金の爆上げ(基本プレイ有料化):「メンテナンス費がかかるから」という理由で、今まで数百円だった水道代が、数千円、数万円へと跳ね上がります。
- 品質のダウングレード:利益を出すために、水質の検査回数を減らしたり、安い薬品を使ったりしてコストカットを徹底します。
- 逃げ道なしの独占:他のゲーム(他の水道)に乗り換えることはできません。地域に水道管は一本しかないからです。
ヴェオリアなどの水メジャーは、「人間なら絶対に解約できないサブスク」を手に入れたわけです。あなたが喉が渇いて水を飲むたび、料理を作るたび、お風呂に入るたび。あなたの財布からチャリン、チャリンと、フランスの豪華な役員室へとお金が送金されるシステム。これが「水メジャー」がボロ儲けしている裏側の仕組みです。
## 水道民営化によるシステム変更:「Before(人権)」から「After(商品)」へ、命のOSが書き換わった
この事件の本当の恐ろしさは、単に「お金が高くなる」ことではありません。社会の根幹にある「OS(基本ソフト)」が、勝手にアップデートされてしまったことにあります。
【Before】アップデート前:水 = 「人権」
かつて、水は空気と同じ「人間が生きていくために絶対に必要な共有財産(公共財)」でした。だから、貧乏な人でも、どんな場所に住んでいる人でも、平等にアクセスできる権利が守られていました。
【After】アップデート後:水 = 「単なる商品」
民営化というアップデートが完了すると、水はAmazonで売っているコーラと同じ「ただの売り物」になります。「お金を払えないなら、サービスを停止します」「修理しても儲からない過疎地には、水を届けません」「株主の利益が第一なので、値上げは当然です」
これ、冗談じゃないんです。南米のボリビアで起きた「コチャバンバ水紛争」では、民営化によって水道料金が月収の4分の1まで跳ね上がり、「雨水を貯めて飲むことすら禁止(雨も企業の所有物だから!)」というめちゃくちゃな法律まで作ろうとして暴動が起きました。
今、日本で進んでいる「コンセッション方式」も、これと同じOSへの書き換えです。自治体が「水道管というハードウェア」を持ち続け、企業が「運営というソフトウェア」を握る。一見、安全そうに見えますが、「蛇口のキーマンを外資に握らせる」という点では、国富の流出そのものです。
## 日本の水道民営化の現在:なぜ世界は「再公営化」しているのに、日本は逆行するのか?
ここが一番の謎であり、「裏側」がある部分です。
実は今、世界中では「水道民営化、失敗だったわ!」という流れが主流です。パリも、ベルリンも、アメリカの多くの都市も、一度民営化した水道を「やっぱり自分たちでやる!」と買い戻しています(再公営化)。
なぜか? 「企業に任せたら、料金は爆上がりし、設備投資はケチられ、水質が悪化したから」です。当たり前ですよね、企業の目的は「人助け」ではなく「利益」なんですから。
それなのに、なぜか日本だけが今、この「世界の失敗作」を喜んで導入しようとしています。2018年に改正された水道法。そして各地で進むコンセッション。
ここには、日本の自治体が抱える「目先の現金が欲しい」という弱みと、そこに付け入る「グローバル企業のコンサルタント」たちの影が見え隠れします。彼らは言います。「民営化すれば、自治体は維持費の負担から解放されますよ。今のうちに運営権を売って、キャッシュを手に入れましょう」
それは、「明日のご飯が買えないから、明日から毎日使う心臓を質に入れる」ような行為です。一時的にお金は入るかもしれませんが、その後、死ぬまで高い利息を払わされるのは僕たち住民です。
## 水道民営化から学ぶ現代の教訓:あなたの「蛇口」を監視するための眼鏡
今回の「授業」のまとめです。
水道民営化の最大の被害者は、言うまでもなく、これから何十年も水道料金を払い続ける「僕たち」と「将来の世代」です。僕たちの財布は、グローバル企業の「配当マシン」として組み込まれようとしています。
では、僕たちはどうすればいいのか?
- 「効率化」という言葉を疑え:「民間=効率的=お得」という方程式は、公共サービスにおいては嘘であることが多いです。民間の効率化で生まれた利益は、あなたの還元されるのではなく、株主のポケットに行くだけです。
- 「命のインフラ」の所有権を意識する:水、電気、ガス、道路。これらが「商品」になったとき、僕たちはもはや市民ではなく、単なる「客(カストマー)」になり下がります。客には権利はありません。金がなければ切り捨てられるだけです。
- ニュースの「主語」を入れ替えて読む:「水道運営を効率化し、自治体の負担を軽減」というニュースが出たら、こう読み替えてください。「水道の集金権を企業に差し出し、住民は永久に搾取され続けるシステムが完成」
明日から蛇口をひねるとき、ふと思い出してみてください。「この水は、誰のものだろう?」「この1円は、どこへ飛んでいくんだろう?」
その小さな違和感こそが、これからの超格差社会で「カモ」にされないための最強の武器になります。
それでは、今日の講義はここまで。次回の「世の中の裏側」でお会いしましょう!
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