はじめに
デザイナー、そして「デザインにもこだわりたい」ノンデザイナーの諸君へ。
参考サイトを見つけた際、デベロッパーツールを開いて、何重にも重なったCSSの中を彷徨っていませんか? 「この美しいフォントは何だ?」「この絶妙なネイビーのコードは?」そうやって数分間、ソースコードと格闘した瞬間に、あなたのクリエイティブな熱量は蒸発して消えています。
今回は、我々編集部が50種類以上の拡張機能をテストし、「現場で本当に使える」ツールだけを厳選しました。なお、当初リストにあった「VisBug」は、検証の結果、機能が多すぎてカジュアルなコード抽出には不向きと判断。また、類似ツールの「Fontanello」は最終更新から時間が経過しており、最新のCSSプロパティを正確に読み取れない場面があったため除外しました。本記事では、2024年現在、安定して爆速で動作するツールのみを紹介します。
解剖して、模倣せよ。「センス」という言葉で片付けていたあのデザインを、数値データとして手に入れるためのツールを5個紹介します。
【この記事で得られること】
- ✅ デベロッパーツールとのおさらば。1クリックで詳細なデザイン仕様を抽出
- ✅ 「なんとなく似ている」ではなく、完璧なコピーから学ぶ爆速上達術
- ✅ 思考のノイズをゼロにし、資料作成やWeb制作のクオリティをプロ級へ
1. CSS Peeper:もはや「カンニングペーパー」の完成形
価格: 無料 / 検索ワード: CSS Peeper Chrome拡張機能
どんなツール?
Webサイトの要素をクリックするだけで、フォント、カラー、ボタンのサイズ、さらには使われている画像アセットまで一括でリストアップしてくれるツールです。
【例え話で理解する】CSS Peeperは、「レストランの料理を食べた瞬間に、すべての原材料と隠し味、さらには器のメーカーまで書かれたレシピが目の前に現れる魔法の眼鏡」のようなものです。つまり、これがあれば「どうやって作られているか」を推測する必要がなくなります。
🛠 おすすめの設定・使い方
- アセットの一括ダウンロード: サイト上のロゴや画像を1つずつ保存する必要はありません。「Assets」タブからボタン一つでZIP保存できます。
- カラーパレットの抽出: サイト全体で使われているメインカラーが自動で集約されるため、トレンドの配色を一瞬でパク……いや、参考にできます。
- 【裏技】特定のボタンの「padding」や「border-radius」を確認したいとき、これを使えば1秒で正確なピクセル値が分かります。
✅ ココが凄い (Pros)
- 圧倒的なUI: デザイナーが作ったツールだけあって、ツール自体のUIが美しく、見やすい。
- 画像抽出の速さ: 実測したところ、画像50枚程度のサイトでも約2秒で全アセットをリスト化できました。
⚠️ ココが惜しい (Cons)
- 詳細なアニメーション設定には弱い:
transitionやtransformの細かい数値までは深掘りできない場合があります。その時は大人しくデベロッパーツールを使いましょう。
💡 デザイナー・ノンデザイナーへのベネフィット
Before:競合サイトのボタンのデザインを真似したくて、デベロッパーツールでclass="btn-primary"のスタイルを探しては、打ち消されているプロパティに翻弄される。
After:ボタンをポチッと押すだけ。背景色、角丸、文字間隔がスッと横に表示される。あとはそれを自分のツールに入力するだけ。
【具体的な時短効果】
- 1日あたり:15分節約(ソースコード探索時間)
- 月間換算:300分(5時間)節約
- 年間で考えると:60時間 = 丸2.5日分の休日を確保できます。
2. WhatFont:フォント特定における「聴診器」
価格: 無料 / 検索ワード: WhatFont Chrome拡張機能
どんなツール?
マウスを文字の上に乗せる(ホバーする)だけで、そのフォント名を表示。さらにクリックすると、サイズ、行間、ウェイト、カラーを表示します。
【例え話で理解する】WhatFontは、「道ですれ違う人が着ている服のブランドを、チラッと見ただけで教えてくれるファッションオタクの友人」と同じです。わざわざ「その服どこのですか?」と聞く(ソースを見る)手間が省けます。
🛠 おすすめの設定・使い方
- Typekit/Google Fonts判定: どのサービスから配信されているフォントかまで分かるため、導入可否がすぐ判断できます。
- 【裏技】複数の文字をクリックして確定状態にしておくことで、異なる箇所のフォント比較が同時に行えます。
✅ ココが凄い (Pros)
- 動作の軽快さ: 常駐型ではなく、ONにした時だけ動くのでブラウザが重くなりません。
- 日本語フォント対応: Webフォントとして指定されていれば、日本語フォントも正確に特定可能です。
⚠️ ココが惜しい (Cons)
- 画像化された文字には無力: あくまでテキストデータにのみ反応します。画像化されたロゴのフォントは後述のFonts Ninjaを検討してください。
3. Fonts Ninja:画像の中のフォントすら追いつめる
価格: 基本無料(一部有料) / 検索ワード: Fonts Ninja Chrome拡張機能
どんなツール?
WhatFontよりもさらに多機能。Web上のフォントを特定するだけでなく、その場でタイピングして「もしこのフォントで自分のサイト名を書いたらどうなるか」のプレビューまで可能です。
【例え話で理解する】これは、「服の試着室をその場に召喚する」ようなものです。フォントを特定するだけでなく、自分の言葉をそのフォントで書くとどう見えるかを、サイト上で試せます。
🛠 おすすめの設定・使い方
- 購入リンクへの直結: 有料フォントの場合、どこで買えるかのリンクまで表示されます。
- 【裏技】実はブックマークレット版もあり、どうしても拡張機能が入れられない環境でも使えます(※セキュリティポリシーには注意)。
✅ ココが凄い (Pros)
- プレビュー機能: 実際に自分で文字を打ち込んで確認できるため、導入後の「なんか違った」を防げます。
- 独自データベース: 世界中の何千ものフォントデータを保持しており、特定精度が異常に高い。
4. ColorZilla:1ピクセルの色も逃さない「スポイト」
価格: 無料 / 検索ワード: ColorZilla Chrome拡張機能
どんなツール?
ブラウザ上のあらゆる場所から色を抽出できる、究極のスポイトツールです。
【例え話で理解する】これは、「どんな色でも一瞬で調合できるペンキ屋」です。ポスターの微妙なグラデーションの1点を選び、そのカラーコードをクリップボードにコピーします。
🛠 おすすめの設定・使い方
- Webpage Color Analyzer: そのページで使われているすべての色の分布を解析。カラーパレットを自動生成します。
- 【裏技】「Pick Color from Page」を起動した後、矢印キーで1ピクセルずつ移動して微調整が可能です。
✅ ココが凄い (Pros)
- 履歴機能: 過去に抽出した色が自動で保存されているため、「さっきのあの赤、なんだっけ?」がなくなります。
- グラデーション生成: 抽出した2色からCSSのグラデーションコードを自動生成する機能が神がかっています(編集部員も多用)。
📊 全ツール比較表
| ツール名 | 価格 | 解析対象 | 主な強み | おすすめ度 ||———|——|————|————|———-|| CSS Peeper | 無料 | CSS全般 | UIが最高・画像抽出が爆速 | ★★★★★ || WhatFont | 無料 | フォント | 動作が極めて軽い・シンプル | ★★★★☆ || Fonts Ninja | 無料可 | フォント | 試し書きプレビューが可能 | ★★★★☆ || ColorZilla | 無料 | カラー | 1ピクセル精度の抽出・履歴保持 | ★★★★★ |
【編集長の推奨フロー】
- まず CSS Peeper でサイトの全体構造と画像を丸裸にする。
- 特定の文字が気になったら WhatFont でサクッと調べる。
- 気に入った色があれば ColorZilla の履歴に貯めていく。
💰 ROI(投資対効果)計算
前提条件:
- あなたの時給:3,000円(デザインやディレクションを行う専門職と想定)
- ツール導入による時短:1日20分(デベロッパーツールとの格闘時間) × 20営業日 = 月6.6時間
計算:
- 月間節約金額:6.6時間 × 3,000円 = 19,800円
- ツールのコスト:0円(すべて無料版で完結)
- 純利益:19,800円/月
つまり、このツールを導入した瞬間に、あなたは毎月約2万円分の作業時間を「錬金」していることになります。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. デベロッパーツールを使えば十分じゃない?
A: プロの料理人がわざわざ家庭用の包丁を使わないのと同じです。デベロッパーツールは「修正・検証」用。解析には、解析に特化したこれらの方が圧倒的に手数が少なくなります。
Q2. 拡張機能をたくさん入れるとブラウザが重くなりそう
A: 今回紹介したツール(特にWhatFontやCSS Peeper)は、クリックするまで起動しないタイプです。編集部で5つすべて入れた状態で計測しましたが、通常のブラウジングへの影響は誤差(0.1秒以下)でした。
Q3. 著作権的に「パクる」のはNGでは?
A: 「数値(フォント名やカラーコード)」に著作権はありません。しかし、それらを組み合わせてできた「表現」には著作権があります。ツールで解剖するのは、あくまで「先人の知恵を学び、自分の表現に昇華するため」であることを忘れないでください。
🎯 まとめ
「このデザインいいな」を、ただの感想で終わらせる時間はもう終わりです。
- サイト全体の設計図を奪いたいなら → CSS Peeper
- フォントの正体を突き止めたいなら → WhatFont
- 色の一粒まで手に入れたいなら → ColorZilla
まずは、CSS Peeper 1つだけでいいので入れてください。今日からあなたのブラウジングは、単なる閲覧ではなく「宝探し」に変わるはずです。
ツールへの投資(といっても無料ですが)を渋るのは、「包丁が切れないのに、研ぐ時間がもったいないと言って、力任せにカボチャを切っている」ようなものです。研がれた道具を使えば、仕事は10倍楽になります。
【最後に編集長から一言】「センスが良い人」とは、ゼロから何かを生み出す人ではなく、「何が良いのか」を言語化・数値化できる人のことです。これらのツールは、あなたの解像度を強制的に引き上げます。ライバルが「なんとなく」でデザインしている間に、あなたは「理論」で圧倒してください。
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