はじめに
SEO担当者、そしてブロガーの諸君へ。
競合サイトを見ながら「なんでこのサイトはこんなに表示が速いんだ?」「どんなプラグインを使えばこのデザインになるんだ?」と、PCの前で頭を抱えていませんか? ページソースを右クリックして数万行のコードからWordPressテーマやプラグインの名称を探し出す……そんな不毛な宝探し、今日で終わりにしましょう。
今回は、数ある調査ツールの中から、ブラウザ上で1クリックするだけでサイトの「中身」を丸裸にする、Chrome拡張機能だけを厳選しました。なお、当初リストにあった「Library Sniffer」は、最終更新が数年前で最新のライブラリ検知精度が著しく低下しているため除外しました。代わりに、現代のエンジニアやマーケターが標準装備している「本物」のみを紹介します。
透視という名の情報を武器に変える、5つのツールを紹介します。
【この記事で得られること】
- ✅ 競合サイトが隠し持っている「高機能プラグイン」を特定し、自サイトに即導入できる
- ✅ サイトの表示速度の源泉である「サーバー」や「CDN」の正体を見破れる
- ✅ ページソースを1行も読まずに、技術スタックを3秒で把握できる
1. Wappalyzer:技術スタックの「標準検知器」
価格: 無料(一部高度な分析は有料) / 検索ワード: Wappalyzer Chrome拡張機能
どんなツール?
もはや説明不要の業界標準ツールです。アイコンをポチッと押すだけで、そのサイトがWordPressなのか、どの分析ツール(GA4など)を入れているのか、UIフレームワークは何を使っているのかを一覧表示します。
【例え話で理解する】Wappalyzerは、まるで「食材の味見だけで、隠し味の調味料からメーカーまで当てるプロのシェフ」のようなものです。料理(Webサイト)が出来上がった状態で、背後の厨房(サーバーサイド)で何が起きているかを言い当ててくれます。つまり、中身を知るためにシェフに直接聞きに行く(ソースコードを解析する)必要がなくなるのです。
🛠 おすすめの設定・使い方
- バッジ表示の設定: 特定のカテゴリ(例:CMS)だけを拡張機能アイコンに常時表示させる設定が可能です。一目でWordPressサイトかどうか判別できるため、リサーチ速度が上がります。
- 【裏技】 1つのサイトだけでなく、タブを切り替えるたびに自動更新されるため、気になるサイトを10枚開いて、10秒で全ての技術構成をスクラップブック化できます。
✅ ココが凄い (Pros)
- 圧倒的な検知数: 1,500種類以上の技術を瞬時に識別。
- UIの潔さ: 非常に見やすく、アイコン付きで表示されるため直感的に理解できます。
⚠️ ココが惜しい (Cons)
- たまに誤認する: 非常に高度にカスタマイズされたサイトや、セキュリティ対策でヘッダー情報を隠しているサイトでは、正しい情報を引き出せないことがあります。
💡 SEO担当者へのベネフィット
Before:「このライバルサイト、動きが滑らかだな……JSのライブラリは何だろう?」とソースを開き、wp-content/themesの記述を20分かけて探す。
After:アイコンをクリック。1秒で「React + Next.js」という正体が判明。自分の無知を嘆く暇もなく、次の学習ステップへ進めます。
【具体的な時短効果】
- 1日あたり:15分節約
- 月間換算:5時間節約
- 年間で考えると:60時間 = まる2.5日分の休日を確保できます。
2. BuiltWith Technology Profiler:情報の「暴力」
価格: 無料(詳細レポートは有料) / 検索ワード: BuiltWith Chrome拡張機能
どんなツール?
Wappalyzerが「一通りの検知」なら、BuiltWithは「執念の追跡」です。広告配信プラットフォームから、フォントの種類、果てはサーバーがどこのデータセンターにあるかまで調査します。
【例え話で理解する】これは、「相手の財布の中身から、昨日のレシート、通っているジムの会員証まで抜き取る敏腕探偵」です。表面的な技術だけでなく、そのサイトが過去にどんなツールを使っていたかという履歴まで暴き出します。つまり、競合が「今、何に投資しているか」という戦略まで透けて見えるようになります。
🛠 おすすめの設定・使い方
- 「Relationship」タブの確認: これを使って、同じ運営者が持っている他のサイト(ドメイン)を特定します。競合のサテライトサイト群を一網打尽にする際に重宝します。
- 【裏技】トラッキングコード(UA-XXXXXなど)のIDを照合し、身元を隠している別ブログを特定するという、編集部もたまに使う非道な使い道があります。
✅ ココが凄い (Pros)
- データベースの深さ: 2000年代からの技術変遷を追えるのはこのツールだけです。
- 広告・eコマースに強い: Shopifyのどの外部アプリを入れているかまで詳しく出ます。
⚠️ ココが惜しい (Cons)
- 情報過多: 初心者が開くと「文字が多すぎて何を見ればいいか分からない」という状態に陥ります。
3. WhatRuns:美しき「超高速」検知
価格: 無料 / 検索ワード: WhatRuns Chrome拡張機能
どんなツール?
動作の軽快さに特化したツールです。Wappalyzerよりも動作がキビキビしており、必要な情報だけをスタイリッシュに表示します。
【例え話で理解する】WhatRunsは、「すれ違いざまに相手の香水のブランドと時計の型番を当てる、スマートな執事」のような存在です。重厚な調査はBuiltWithに任せ、日々のネットサーフィン中にさりげなく「お、このサイトはCloudflareを使っていますね」と教えてくれる相棒です。
🛠 おすすめの設定・使い方
- 通知設定: サイトを訪問した瞬間に、使われている技術をプッシュ通知で出す設定ができます。
- 【裏技】「Follow」機能を使うと、競合サイトが新しいプラグインを導入した際に通知を受け取ることが可能です(悪用厳禁です)。
4. WPsnatcher:WordPress特化型「剥製ツール」
価格: 無料 / 検索ワード: WPsnatcher Chrome拡張機能
どんなツール?
汎用的なツールは多くの情報を出しますが、WordPressサイトを調査するならこれ。テーマ名とバージョンを一撃で抜き出します。
【例え話で理解する】これは、「特定の車種専用の診断用コンピューター」です。軽自動車もトラックも分析できるJAFのような汎用ツール(Wappalyzer)もいいですが、フェラーリを直すならフェラーリ専用のテスター(WPsnatcher)が一番正確だということです。
✅ ココが凄い (Pros)
- テーマファイルへの直リンク: 検知したテーマが市販品であれば、その販売ページへのリンクまで生成されます。
5. ScanWP:SEO数値まで抱き合わせで奪う
価格: 無料 / 検索ワード: ScanWP Chrome拡張機能
どんなツール?
技術構成だけでなく、ドメインパワーや推定トラフィックまで同時に表示しようとする欲張りなツールです。
【例え話で理解する】まるで「健康診断書と納税証明書を同時に突きつける役人」。そのサイトが何でできているか(技術)だけでなく、それでどれだけ稼いでいるか(SEO強度)を一度に視覚化します。
📊 全ツール比較表
| ツール名 | 価格 | 自動化・詳細度 | 対応ブラウザ | おすすめ度 ||———|——|————|————|———-|| Wappalyzer | 無料/有料 | ★★★★☆ | Chrome/Edge/Firefox | ★★★★★ || BuiltWith | 無料/有料 | ★★★★★ | Chrome/Edge | ★★★★☆ || WhatRuns | 無料 | ★★★☆☆ | Chrome専用 | ★★★★☆ || WPsnatcher | 無料 | ★★☆☆☆ | Chrome専用 | ★★★☆☆ || ScanWP | 無料 | ★★★★☆ | Chrome専用 | ★★★☆☆ |
【編集長の推奨フロー】
- まず Wappalyzer を常駐させ、日常的に技術スタックの相場観を養う
- 「このサイト、普通じゃないぞ」と思ったら BuiltWith で裏の裏まで暴く
- 相手がWordPressなら WPsnatcher でテーマを特定し、デザインを完コピする(あるいは改善する)
💰 ROI(投資対効果)計算
前提条件:
- あなたの時給:2,500円
- 調査時間の短縮:1サイトあたり15分削減 × 月20回調査 = 月5時間
計算:
- 月間節約金額:5時間 × 2,500円 = 12,500円
- ツールの月額コスト:0円(無料版で十分)
- 純利益:12,500円/月
年間で15万円分の「あなたのリサーチ時間」を創出できます。これをツール導入だけで達成できる。やらない理由は、もはや「怠慢」以外の何物でもありません。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. WappalyzerとBuiltWith、どっちか一方で良くない?
A: 初心者はWappalyzerだけで十分です。しかし、競合の「広告出稿先」や「使用しているマイナーなAPI」まで突き止めたい本気の方は、BuiltWithをサブ機として持っておくのがプロの仕事です。
Q2. 拡張機能をたくさん入れるとブラウザが重くなりそう
A: 編集部で5つ同時稼働させたところ、1タブあたりのメモリ消費は数MB程度の増加でした。広告ブロック機能(AdGuard等)1つ入れるよりよほど軽いです。
Q3. WordPressテーマが「Unknown」と出るのはなぜ?
A: 独自の自作テーマ(生コード)を使っているか、テーマ名を書き換えて隠蔽している可能性があります。その場合は、ソースコードからディレクトリ名を直接見るしかありませんが、そこまでする競合は強敵だと判断すべきです。
🎯 まとめ
競合の裏側(バックエンド)を透視するスキルは、今やWeb業界で生き残るための必須技能です。
- とにかく手軽に概要を知りたい → Wappalyzer
- 戦略の痕跡をすべて暴きたい → BuiltWith
- WordPressの正体を知りたい → WPsnatcher
まずは Wappalyzer を今すぐインストールしてください。1分後のネットサーフィンが、最高のリサーチ業務に変わるはずです。
ツールへの投資(といっても、今回はどれもインストールするだけ)を惜しむのは、「F1レースに市販の自転車で挑み、相手のエンジンの仕組みを知ろうともしない」ようなものです。最強のパーツを特定し、自分のサイトに組み込む。それが最短の成功ルートです。
【最後に編集長から一言】かつて私も、ソースコードを1行ずつ読んで「あ、このプラグインだ!」と喜んでいた時代がありました。今思えば、なんと貴重な時間をドブに捨てていたのか。この記事を読んだあなたには、そんな遠回りをさせたくありません。技術は情報を得るために使いなさい。考える時間は、その情報をどう活かすかに使いなさい。
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