はじめに
モダンなWebサービスに関わる全デザイナー、マーケター、そしてエンジニアへ。
制作中のLPを見た時、こう思いませんでしたか?「また『いらすとや』かよ」と。親しみやすさは最強ですが、テック系SaaSでそれを使うのは、高級フレンチに割り箸を出すようなものです。一気に漂う「日本の中小企業感」。海外テック企業のような洗練された透明感、あの「シュッとした感じ」が欲しいはずです。
今回は、巷に溢れるフリー素材から「本当に商用で戦える」神サイトだけを厳選しました。なお、当初候補にあった『Ouch!』などは一部有料プランの制限が複雑で、無料での色カスタマイズ性が低いため、あえて除外。「ブラウザ上でブランドカラーに一括変更でき、即戦力としてDLできる」無料ツールのみを揃えています。
シリコンバレー風なツールを、4個紹介します。
【この記事で得られること】
- ✅ 思考停止の「いらすとや」卒業と、ブランド価値の向上
- ✅ わずか10秒でサイトの色調に合わせたイラストを作成
- ✅ デザイナーに発注するコスト(数万円〜)をゼロにする
1. unDraw:テック系イラストの原点にして頂点
価格: 完全無料(ライセンス表記不要) / 検索ワード: unDraw
どんなツール?
MITライセンスで公開されている、オープンソースのイラストライブラリです。モダン、ミニマル、フラット。今のWebトレンドの教科書のようなイラストが数千点公開されています。
【例え話で理解する】unDrawは、「誰でも着こなせるユニクロの白Tシャツ」のようなものです。シンプルすぎて単体では個性が薄いように見えますが、どんなサイトに合わせても邪魔をせず、確実に清潔感と「それっぽさ」を演出してくれます。つまり、迷ったらこれを選んでおけば、大怪我をすることはありません。
🛠 おすすめの設定・使い方
- カラーカスタマイズ: 右上のカラーパレットに、自分のサイトのメインカラー(HEX値)をぶち込んでください。全イラストが一瞬であなたのブランド専用に染まります。
- キーワード検索: 「Server」「Cloud」「Security」など、英語で検索するのがコツです。
- 【裏技】: SVG形式でDLし、Figmaにドラッグ&ドロップ。レイヤーが分かれているので、不要な要素(背景の丸など)だけ消すのがプロの仕業です。
✅ ココが凄い (Pros)
- 完全無料の自由度: 著作権表示不要。商用利用もやり放題。これ、普通なら1点数千円取られるクオリティです。
- 圧倒的な一貫性: 全イラストをKaterina Limpitsouni氏一人が描いている(または監修している)ため、サイト内で複数の絵を使ってもトーンが一切崩れません。
⚠️ ココが惜しい (Cons)
- 被り率の高さ: 有名すぎて「あ、これunDrawだな」と玄人にはバレます。
- 人物の表情: 顔が描かれていないため、温かみや豊かな感情表現には向きません。
💡 Web制作担当者へのベネフィット
Before:無料のストックフォトサイトを3時間徘徊。ようやく見つけたイラストは、色がサイトと合っておらず、無理やり配置した結果「安っぽい個人ブログ」のような仕上がりに。
After:サイトの色コードをコピペして、10秒で最適なイラストを発見。配置した瞬間、クライアントから「海外発のサービスみたいでカッコいいですね!」と即レスが届きます。
【具体的な時短効果】
- 1回あたりの素材探し:45分節約
- 1プロジェクト(10点使用):7.5時間節約
2. storyset:カスタマイズ性の鬼
価格: 無料(帰属表示が必要) / 検索ワード: storyset
どんなツール?
「Freepik」が運営する、高機能なイラスト配布サイト。5つの異なるスタイルから選べるだけでなく、なんとブラウザ上で「背景の密度」や「キャラクターの性別」まで変更可能です。
【例え話で理解する】storysetは、「具材とソースを自由に選べるサブウェイのカスタム注文」です。「絵そのものはいいけど、背景がうるさいんだよな…」というワガママを、ポチポチと設定を変えるだけで解決してくれます。
🛠 おすすめの設定・使い方
- アニメーション機能: 実はブラウザ上でアニメーションを付けて、GIFやMP4、コードとして書き出せます。
- 背景の切り替え: 「Detailed(詳細)」「Hidden(非表示)」「Simple(シンプル)」を切り替えて、余白のバランスを調整しましょう。
- 【裏技】: 同じコンセプトの絵を「Rafiki」「Amico」「Pana」など5つのスタイルで切り替えられます。サイトの雰囲気に合わせて「丸み」を調整してください。
✅ ココが凄い (Pros)
- カスタマイズ性: 人物の配置はそのままで、背景だけ消すといった「痒いところに手が届く」機能が神。
- 動くイラスト: 専門知識なしで、ホバーすると動くイラストが作れます。
⚠️ ココが惜しい (Cons)
- ライセンス: 無料利用には「Designed by Storyset」といったクレジット表記が必須。隠蔽したいなら有料版にするしかありません。
💡 マーケターへのベネフィット
Before:「このイラストいいけど、背景のビルが邪魔だな」と思い、慣れないPhotoshopを起動して1時間かけて切り抜き作業。結局縁がガタガタに。
After:ブラウザ上で「Hidden」ボタンを押すだけ。0.5秒で理想の透過PNGが完成。浮いた時間で、もう一本広告コピーが書けます。
3. ManyPixels:ニッチなシチュエーションの宝庫
価格: 無料(ライセンス表記不要) / 検索ワード: ManyPixels Gallery
どんなツール?
デザイン制作代行サービス「ManyPixels」が、リード獲得のために公開している2,500以上のフリーイラスト集です。unDrawよりも「具体的でニッチなビジネスシーン」が多く揃っています。
【例え話で理解する】ManyPixelsは、「品揃えが絶妙な近所のカルディ」です。普通のスーパー(unDraw)にはない「暗号通貨の複雑なやり取り」や「リモートワークの細かいあるある」といった、玄人好みのイラストがひっそりと並んでいます。
✅ ココが凄い (Pros)
- シチュエーションの具体性: 「NFTの取引」「アジャイル開発のスクラム」など、テック業界特有のシーンが豊富。
- 配色の一括変更: これもHEX値で一括変更可能。
⚠️ ココが惜しい (Cons)
- 検索性能: 検索機能が少し弱く、自分の欲しい素材に辿り着くまでに少しスクロールが必要です(編集部では「筋トレ」と呼んでいます)。
4. Humaaans:人間の多様性を表現する
価格: 完全無料(CC0) / 検索ワード: Humaaans
どんなツール?
著名デザイナーPablo Stanley氏による、人物に特化したイラストライブラリ。最大の特徴は、体、頭、服、背景をバラバラに組み合わせて「自分だけの人間」を作れることです。
【例え話で理解する】Humaaansは、「大人向けのデジタル・レゴ」です。パーツを組み替えるだけで、車椅子に乗った人、アフロヘアのエンジニア、ヨガをする社長など、多様性を100%表現できます。
✅ ココが凄い (Pros)
- モダンな抜け感: 手描き感のある絶妙なラインが、サイトに「温かみのある先進性」を与えます。
- ダイバーシティへの対応: 海外案件や、グローバル展開を狙うサービスのLPには必須です。
📊 全ツール比較表
| ツール名 | 価格 | 特徴 | 帰属表示 | おすすめ度 ||———|——|————|————|———-|| unDraw | 無料 | 王道・ミニマル | 不要 | ★★★★★ || storyset | 無料 | 高機能カスタム | 必要 | ★★★★☆ || ManyPixels | 無料 | ビジネス特化 | 不要 | ★★★★☆ || Humaaans | 無料 | 人物・多様性 | 不要 | ★★★★☆ |
【編集長の推奨フロー】
- まず unDraw でサイト全体のメインイラストを決める
- 特定の機能説明で困ったら ManyPixels を探す
- 動きを出したい、個性を強めたい箇所だけ storyset を使う
💰 ROI(投資対効果)計算
前提条件:
- イラスト1点の外注費:3,000円〜5,000円
- 1サイトで必要なイラスト数:5〜10点
- 制作にかかるコミュニケーションコスト:数時間
計算:
- 外注した場合:50,000円 + 修正指示などの時間
- これらのツールを使った場合:0円 + 検索時間15分
- 純利益:約50,000円/プロジェクト
あなたの時給が2,500円なら、20時間分の労働価値をこのツールのブックマークだけで手に入れたことになります。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. 色を変えても「フリー素材感」が出てしまいます。
A: 色の選び方が原因です。原色(#FF0000など)ではなく、少しグレーを混ぜた「くすみカラー」や、ブランドカラーの彩度を落とした色を指定してください。unDrawのデフォルトカラーが参考になります。
Q2. SVGとPNG、どっちでダウンロードすればいい?
A: SVG一択です。 拡大しても画像が荒れず、将来的に色を変えたくなった時もコード上で変更可能です。編集部では「PNGで保存するのは、賞味期限切れの牛乳を買うようなもの」と教えています。
Q3. 利用規約が急に変わるのが怖い
A: 確かに多くのサイトが過去に有料化しました。しかし、この記事で紹介したunDrawやHumaaansは、オープンソースの精神が強く、公開済みの素材が遡って違法になるリスクは極めて低いです。不安ならDL時にライセンスページのスクショを保存しておきましょう。
🎯 まとめ
「いらすとや」に頼る日々は、今日で終わりです。
- 王道のテック感が欲しい → unDraw
- 背景まで細かく調整したい → storyset
- 複雑なビジネスシーンを描きたい → ManyPixels
- 「人」の温かみを出したい → Humaaans
明日の朝、あなたの制作しているLPのイラストを1枚だけ差し替えてみてください。上司やクライアントから「お、なんか今日垢抜けたな?」と言われるはずです。
ツールへの投資(といっても今回はブックマークするだけですが)を惜しむのは、「切れ味の悪い包丁で、力任せにカボチャを切っている」のと同じです。道具を整えれば、あなたの仕事はもっと軽く、もっと美しくなります。
【最後に編集長から一言】「デザインのセンスがない」と嘆く前に、素材の質を疑ってください。一流の料理人は、素材選びに全神経を注ぎます。今回紹介したサイトは、現代のWeb制作における「築地直送の最高級素材」です。あとは盛り付けるだけ。あなたのセンスは、道具で補完できます。
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